イーロン・マスク氏率いる人工知能(AI)スタートアップのxAIは21日、50億ドル(約7734億円)の資金調達を実施し、企業価値が500億ドル(約7兆7340億円)に達したことが明らかになった。この急成長は、世界的な人工知能開発競争の加速を象徴する動きとして注目を集めている。
大手投資家からの巨額調達で成長加速
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、今回の資金調達にはカタール投資庁やアンドリーセン・ホロウィッツ、バリュー・エクイティ・パートナーズ、セコイア・キャピタルなどの有力投資家が参加した。xAIの資金調達総額は今年だけで110億ドル(約1兆7014億円)に達している。
企業価値は春の資金調達時点の240億ドル(約3兆7123億円)から、わずか数カ月で2倍以上に膨らんだ。同社は調達資金を活用し、AI開発に不可欠なNVIDIAチップ10万個の追加購入を計画している。この大規模な設備投資により、AIモデルの開発能力が飛躍的に向上すると期待されている。
OpenAIとの競争激化とマイクロソフトへの訴訟拡大
We are excited to bring together a group of exceptional engineers and product builders who are intrigued by our mission to build maximally truth-seeking AI
Join our open house to meet our team, learn more about xAI, and enjoy a fun evening brought you by the creators of the… pic.twitter.com/uskAlLOyER
— xAI (@xai) September 27, 2024
xAIを率いるイーロン・マスク氏は、2015年にサム・アルトマン氏らと共同創業したOpenAIとの競争を強化している。
マスク氏は先週、OpenAIとマイクロソフトを反トラスト法違反で提訴した。両社が人工知能市場で独占的な地位を築こうとしているとして、非営利組織から営利企業への転換を批判している。
訴訟の一環として公開された電子メールには、OpenAI設立初期の様子が記されており、マスク氏は同社が当初の非営利目的から逸脱したと主張している。この法的争いは、急成長するAI業界における主導権争いの一面を浮き彫りにしている。
今後の展望と業界への影響
xAIの急成長は、世界的な人工知能開発競争の激化を象徴している。同社の企業価値は、マスク氏が440億ドル(約6兆8059億円)で買収したSNSプラットフォームXを上回る規模となった。資産運用会社フィデリティは9月時点でXの企業価値を94億ドル(約1兆4539億円)と評価している。
業界専門家らは、この急成長の背景に世界的なAI開発競争の加速があると指摘している。特に大規模言語モデルの開発競争は熾烈を極めており、各社は独自のAIモデル開発に巨額の投資を行っている。
今後、OpenAIやGoogle、Anthropicなど主要プレイヤーとの開発競争がさらに加速すると見られ、AI技術の革新が一層進むことが期待されている。