トランプ前米大統領は28日、大統領選挙の資金調達を目的とした新たな非代替性トークン(NFT)トレーディングカードコレクションを発表した。
トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、これまでの4回の発行で約400万ドル(約5億7840万円)の資金を調達したと主張している。
「人気の要望」に応えたNFTコレクション
「アメリカ・ファースト」と名付けられたこのコレクションは、1枚99ドル(約1万4315円)で販売されており、トランプ氏がさまざまなシチュエーションでポーズを取る50種類の画像が含まれている。
This is a real video Donald Trump just posted pic.twitter.com/YigJ26hrAf
— Adam Parkhomenko (@AdamParkhomenko) August 27, 2024
その中には、ビットコインのロゴが入った「アイアンマン」風の衣装を着用した姿や、自身のブランドのゴールデンシューズを履いた画像などがある。
トランプ氏は11月の大統領選に向けて、暗号資産(仮想通貨)支持者の票を獲得しようと、自身を「クリプト大統領」と呼んでいる。動画の中で彼は「私をクリプト大統領と呼ぶ人もいます。本当かどうかはわかりませんが、多くの人がそう言っています」と述べた。
物理的な特典とサイン入りカード
元「アプレンティス」のスター出演者は、一部のトレーディングカードに物理的な特典を付けることを約束している。
これには、バイデン大統領との討論会で着用したスーツの一部や、来月フロリダで開催されるトランプ氏のガラパーティーのチケットなどが含まれており、後者は7000ドル(約101万2200円)以上の価値があるという。
トランプ氏は「人々はそのスーツを『ノックアウト・スーツ』と呼んでいます。私はよくわかりませんが、そう呼んでいるようです」と続けた。また、5枚の物理的なカードにはサインが入るとし、「家族や子供、孫にプレゼントするのに良いでしょう」と述べている。
仮想通貨への姿勢の変化
7月、トランプ氏は過去のNFTコレクションの支払いの80%が仮想通貨で行われたことを明かした。彼は仮想通貨支払いの人気に驚いたと述べ、「本当に気づいたのは、ほぼすべてが新しい通貨、つまり仮想通貨で支払われたことです。これは私の目を開かせました」と語った。
最新の財務開示によると、トランプ氏は現在100万ドル(約1億4460万円)以上の仮想通貨を所有しているという。
NFTと選挙戦略の融合
この一連の動きに対し、ソーシャルメディアのXでは「奇妙だ」「冗談だ」といった批判的なコメントも見られる。しかし、トランプ氏の仮想通貨への傾倒は、テクノロジーに精通した有権者層を取り込もうとする新たな選挙戦略の一環とも考えられる。
NFTと選挙資金調達を組み合わせたこの手法は、従来の政治資金集めとは一線を画している。仮想通貨やブロックチェーン技術に関心を持つ若い有権者層へのアピールとなる可能性がある一方で、従来の支持者との温度差を生む可能性もある。
今後、他の候補者たちがこの手法を模倣するのか、あるいは全く異なるアプローチを取るのか、注目が集まっている。アメリカの選挙戦略が、テクノロジーの進化とともに新たな局面を迎えつつあることは間違いないだろう。