スナップチャットを運営するSnap社は17日、独自のオペレーティングシステム「Snap OS」を搭載した新しいAR(拡張現実)眼鏡「Spectacles」を発表した。
この革新的なデバイスは、ユーザーの日常生活にAR技術を自然に統合し、新しいコミュニケーション体験を提供することを目指している。
Spectaclesは、透明なレンズを採用しており、ユーザーは周囲の環境を常に認識しながらAR体験を楽しむことができる。これにより、現実世界とデジタル世界のシームレスな融合が実現する。
AIとARの融合がもたらす新しい可能性
Spectaclesの最も注目すべき機能の一つは、マルチモーダル生成AIの搭載だ。このAI機能により、ユーザーはウェブ検索結果の閲覧、3Dアセットの生成、空間的に配置された動画の視聴などを行うことができる。
Straight from Evan. Captured with Spectacles. One of our favorite moments from launch day at @snap #SnapPartnerSummit. pic.twitter.com/1DsIbEMxt0
— Spectacles (@Spectacles) September 18, 2024
また、Snapchatと連携することで、友人とのコミュニケーションを3次元に拡張する。共有レンズを通じてゲームをプレイしたり、新しいレイアウトを確認したり、AR機能で強化された屋外体験を共有したりすることが可能となる。
高度な技術を搭載したコンパクトなデザイン
Spectaclesは、軽量でコンパクトなデザインながら、高度な技術を搭載している。主な特徴は以下の通りだ。
- 強力なセンサー群:複数のカメラとセンサーにより、マルチモーダルAI、コンテキスト理解、6自由度トラッキングを実現。
- 高度な計算能力:デュアルシステムオンチップアーキテクチャと蒸気室により、スタンドアロンの眼鏡形状を可能に。
- 鮮やかなディスプレイ:46度の視野角、37ピクセル/度のステレオ導波路ディスプレイ、自動調光機能により、鮮明で明るい画像を提供。
開発状況と利用方法
現在、Spectaclesは開発者向けに提供されている段階だ。利用を希望する開発者は、Snapの公式ARソフトウェア開発ツール「Lens Studio」を通じてアクセス申請を行う必要がある。
ただし、利用にはハードルがある。Snapは開発者に対し、最低1年間のレンタル契約を結ぶことを条件としており、月額99ドル(約14,030円)の費用がかかる。つまり、1年間で1,188ドル(約168,360円)の投資が必要となる。
この戦略は、Spectaclesの開発を真剣に検討している開発者のみをターゲットとしていると考えられる。日本を含む一般消費者向けの販売開始時期については、現時点で明確な情報は発表されていない。
Spectaclesは、AR技術を活用した次世代のコミュニケーションツールとして、大きな可能性を秘めている。ユーザーの日常生活にシームレスに統合されることで、デジタルとリアルの境界を曖昧にし、より豊かな体験を提供することが期待される。