日本の生成AI開発スタートアップ「Sakana AI」は4日、米半導体大手NVIDIAから出資を受けると発表した。出資比率や金額は非公開だが、NVIDIAは主要株主になるという。
この動きは、世界的なAI開発競争が激化する中で、新興企業の囲い込みが活発化していることを示している。
Sakana AIとは?
Sakana AIは、元グーグル社員が2023年7月に東京で設立したスタートアップだ。複数のAIを組み合わせて高性能な言語・画像処理AIを生み出す技術を強みとしており、業界から高い関心を集めている。
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— Sakana AI (@SakanaAILabs) September 4, 2024
2024年1月には、NTTグループやKDDI、ソニーグループのベンチャーキャピタルから計45億円の資金調達に成功している。
日本のAI開発に新たな展開
Sakana AIの伊藤錬最高執行責任者は「NVIDIAと提携することで、日本に世界クラスのAIリサーチラボを設立したい。日本の特性を活かした研究開発を進めていく」と述べている。
この提携により、Sakana AIは開発を加速させることができる一方、NVIDIAにとっても生成AI企業との連携を通じて、需要に即した半導体開発につながるメリットがある。
NVIDIAは生成AIに不可欠なGPUの設計・開発で世界をリードしており、2024年6月には時価総額で世界1位に躍り出た。
同社の半導体は高い画像処理性能から広く採用されているが、生成AIの普及に伴い世界的な争奪戦が起きている。
Last week over 2,000 attendees joined us in person for this historic #GTC24 panel, featuring authors of the groundbreaking research paper that introduced transformers to the world "Attention Is All You Need", moderated by NVIDIA CEO Jensen Huang.
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— NVIDIA GTC (@NVIDIAGTC) March 25, 2024
グローバルAI競争の中での日本の位置づけ
生成AIの開発競争は、マイクロソフトやグーグルなどの巨大IT企業を中心に世界中で激化している。米国ではオープンAIのChatGPTの登場以降、大手IT企業が新興AI企業への出資や買収を積極的に進めている。
日本国内でも、ソフトバンクが大規模な生成AIの開発を進めているほか、NTTやNECが企業向けサービスを開始している。
KDDIは東京大学発のスタートアップ「イライザ」を子会社化するなど、企業や研究機関での開発が活発化している。
Sakana AIへのNVIDIAの出資は、日本のAI技術が世界から注目されていることを示すとともに、グローバルな技術革新の一端を担う可能性を秘めている。
今後、日本の特性を活かしたAI開発がどのように進展し、世界市場でどのような影響を与えるか注目される。