半導体大手NVIDIAのジェンセン・フアンCEOは25日、人工知能(AI)の計算能力が今後10年間で100万倍に増加するとの見通しを示した。この発言は、OpenAIのサム・アルトマンCEOが「AIの限界は存在しない」とソーシャルメディアで述べたことに続くものだ。
there is no wall
— Sam Altman (@sama) November 14, 2024
AI計算能力の急速な成長
フアンCEOによると、現在のAI業界は年間4倍のペースで計算能力を向上させており、これが10年間続けば100万倍の成長につながる。
従来の半導体性能向上を示すムーアの法則が10年で100倍の向上だったことと比較すると、その成長速度の違いは歴然だ。フアンCEOはこの成長がAIの学習だけでなく、推論処理にも適用されると説明している。
OpenAIの新モデルが示す進化の方向性
この予測の根拠として、OpenAIの新モデル「o1」の性能が挙げられる。o1はGPT-4を上回る推論能力を持ち、複雑な数学的問題を段階的に解決できる。
ただし、この高度な処理には従来の「ChatGPT」よりもはるかに多くの計算資源が必要となる。現在、NVIDIAのインフラ利用の半分以上が推論処理に使われており、この需要は今後さらに拡大すると予測されている。
NVIDIAの業績と次世代チップへの期待
10月期決算でNVIDIAは前年比94%増となる350億ドルの売上を記録した。同社は次世代チップ「Blackwell」の開発を進めており、これまでの製品と比べて「数十倍の性能向上」を実現するという。
フアンCEOは「今後10年間、AIの訓練と推論の需要に応えるため、製品ロードマップを加速させる」と意欲を示している。Blackwellチップの導入により、企業の計算処理能力は大幅に向上し、NVIDIAのデータセンター事業のさらなる成長が期待される。