マイクロソフトは23日、スリーマイル島の原子炉を再稼働させ、人工知能(AI)開発の電力供給源とする計画を明らかにした。
スリーマイル島原子炉の再稼働とマイクロソフトの狙い
スリーマイル島は、1979年にアメリカ最悪の原子力事故が起きた場所として知られている。
今回、マイクロソフトはクリーンエネルギーの確保を目的に、ペンシルベニア州のこの原子炉を2028年から20年間利用する契約を結んだ。
原子炉の所有者であるコンステレーション・エナジーは、必要なアップグレードを完了した上で、ユニット1の原子炉を再稼働させる予定だ。同社は、事故を起こした隣接するユニット2とは完全に独立していると強調している。
U.S. nuclear plant Three Mile Island, the site of one the worst nuclear accidents in American history, may reopen in 2028 with plans to supply energy to Microsoft. pic.twitter.com/8yFvCfFrXQ
— TODAY (@TODAYshow) September 21, 2024
経済効果と社会的影響
このプロジェクトは、バイデン大統領の気候変動対策法案の支援を受けており、最終的な承認は原子力規制委員会による。
コンステレーション・エナジーのCEOであるジョー・ドミンゲス氏は、「データセンターなどの重要産業を支えるには、毎時間カーボンフリーで信頼性の高いエネルギーが必要であり、原子力発電はそれを唯一提供できる」と述べている。
この契約により、ペンシルベニア州のGDPに約160億ドル(約2兆3000億円)の貢献が見込まれ、3400人の雇用創出が期待されている。
AI開発と電力需要の課題
マイクロソフトのエネルギー担当副社長であるボビー・ホリス氏は、「この合意は、カーボンネガティブになるという我々のコミットメントを支える重要な一歩だ」と語った。
AI開発やデプロイメントには膨大な計算能力と電力が必要であり、データセンターの消費電力も増大している。
再生可能エネルギーである風力や太陽光と異なり、原子力は24時間稼働でき、排出ガスもない。しかし、廃棄物の処理や安全性についての懸念も残っている。