米国のSNSインフルエンサー、ヘイリー・ウェルチは6日、自身が発行した仮想通貨「ホークトゥア(Hawk Tuah)」の価格暴落について話題になっている。
SNSでの発言から仮想通貨発行まで
ウェルチ氏は路上インタビューで “Hawk Tuah, spit on that thang” というフレーズを発したことがSNSで拡散され注目を集めた。同氏はその後ポッドキャストを開始するなど急速にメディア展開を進め、関係チームと共に暗号資産(仮想通貨)の発行を決定した。
発行された仮想通貨の時価総額は最高で4億9000万ドル(約735億円)に達したものの、大規模な投げ売り(ラグプル)により90%以上下落した。SNSプラットフォームXでは、3万5000ドル(約525万円)の投資額を失ったとする投資家の報告も確認されている。
Hawk is live!!!
HAWKThXRcNL9ZGZKqgUXLm4W8tnRZ7U6MVdEepSutj34 pic.twitter.com/9GFgYwpeFA
— Haliey Welch (@HalieyWelchX) December 4, 2024
内部関係者による売却の実態
同氏とチームは「1トークンも売却していない」と主張し、チーム保有分は1年間のロック期間が設定されていると説明している。しかし仮想通貨取引の公開台帳を分析した結果、事前販売に参加した285のウォレットのうち89のウォレットが一般販売開始直後に売却を実施していたことが判明した。
ある投資家は売却益が100万ドル(約1億5006万円)に達したとされるが、関係者はその詳細について説明を避けている。専門家は事前販売参加者による組織的な売り抜けの可能性を指摘している。
規制当局への通報と今後の展開
仮想通貨詐欺の調査で知られるユーチューバーのスティーブン・フィンダイゼン氏が、SNSのライブ配信でウェルチ氏のチームに説明を求める場面もあった。一部の仮想通貨トレーダーは米証券取引委員会(SEC)に通報したとされている。
ウェルチ氏は12月5日以降、主要SNSでの投稿を停止している。今後、自身のポッドキャストで説明を行うかどうかは明らかになっていない。
投資家への注意喚起
本件のような事例を受け、投資家は暗号資産への投資において以下の点に注意を払う必要性が高まっている。特に海外の発行体が提供する仮想通貨については、取引所に上場後の価格変動リスクに加え、発行体の実態確認が困難な場合が多い。
専門家は投資判断の際、発行体の実態や事業計画の確認、流動性リスクの評価などを徹底することを推奨している。また突然の価格高騰や誇大な宣伝文句には特に警戒が必要だと指摘している。