広告大手の博報堂は9日、Worldcoinプロジェクトの主要企業であるTools for Humanityと提携した。この提携で、AI時代に向けた新たなデジタルアイデンティティツール「World ID」の日本での普及を目指す。
Worldcoinとは?AI時代の人間証明ツール
Worldcoinプロジェクトは、OpenAIのサム・アルトマン共同創業者らが立ち上げた取り組みだ。このプロジェクトの目的は、AIの進化に備えて人間が必要なツールを創り出すことにある。
プロジェクトの中心となるのが「World ID」と呼ばれるデジタルパスポートだ。これは、オンライン上で自身が人間であることをプライバシーを守りながら証明できるツールである。World IDの発行には、Tools for Humanityが開発した虹彩認証装置「Orb」が使用される。
World IDの活用により、企業はAIを使った不正アクセスの防止や、人間のみが参加できるコミュニティの形成が可能になる。これは、今後AIと人間の区別が困難になる時代に向けて、重要な役割を果たすと期待されている。
博報堂とWorldcoinの提携内容
博報堂は2023年12月から、Hakuhodo JV Studioにて本サービスの実証実験を行ってきた。その成功を受け、今回の提携に至った。
提携の主な目的は、World IDの日本でのサービス拡大だ。博報堂は、まずWorld IDの認知拡大に注力する方針を示している。AI技術が急速に進化する中、人間とAIを区別するツールの重要性を広く伝えていく考えだ。
現在、世界で約600万人以上がWorld IDを取得している。日本市場でも、この数字を伸ばしていくことが期待される。
AI時代の共存社会実現に向けて
AI技術の発展により、人間とAIの共存は避けられない課題となっている。博報堂は、World IDの普及を通じて、この課題に取り組む姿勢を示した。
AI技術は日常生活に欠かせない存在になりつつある一方で、その急激な進化は様々な課題も生み出している。人間とAIをどのように区別し、共存していくかは、今後の社会の在り方を左右する重要なテーマだ。
博報堂とWorldcoinの提携は、こうした時代の要請に応える取り組みと言える。今後、日本市場でWorld IDがどのように受け入れられ、活用されていくか、注目が集まるだろう。