Google Quantum AIは9日、最新の量子コンピューターチップ「Willow」を発表した。同チップは量子誤り訂正における30年来の課題を解決し、スーパーコンピューターを大幅に上回る性能を実現した。
量子誤り訂正の breakthrough
Willowの最大の特徴は量子誤り訂正の能力だ。量子ビットを増やすごとに誤り率を指数関数的に低減できる。これは量子コンピューターの実用化における最大の課題の一つを解決する成果となる。3×3から7×7までの量子ビットグリッドで実証実験を行い、規模を拡大するごとにエラー率を半減することに成功した。
驚異的な計算性能
標準的なベンチマーク計算では、現代の最速スーパーコンピューターで100億×100億×100億年以上かかる計算を5分未満で完了した。この性能は宇宙の年齢をはるかに超える時間スケールに相当する。105量子ビットを搭載し、量子ビットの情報保持時間も従来比で約5倍となる100マイクロ秒を達成している。
実用化への展望と仮想通貨への影響
Willowの実用化は、新薬開発や電気自動車用バッテリーの設計、核融合エネルギーの研究などの分野で革新をもたらす可能性がある。また、量子コンピューターの実用化は仮想通貨やブロックチェーン技術にも大きな影響を与える可能性がある。
現在の暗号技術の多くは量子コンピューターによる解読に対して脆弱とされており、量子耐性のある新しい暗号技術への移行が必要となる。
Google Quantum AIのHartmut Neven創設者は、量子コンピューターとAIは時代を変革する最も重要な技術になると指摘する。特にAIの訓練データ収集や学習アーキテクチャの最適化において、量子コンピューターは不可欠な役割を果たすと予測している。
同社は開発者向けにオープンソースソフトウェアと教育リソースを提供しており、Courseraでは量子誤り訂正の基礎を学べるコースも開設している。量子コンピューターの実用化に向けた取り組みは、今後も加速していくことが予想される。