世界最大のドローンメーカーである中国のDJIは18日、米国防総省を相手取り訴訟を起こした。同社は2022年、米国防総省が定期的に更新する「中国軍関連企業」リストに追加されていた。
DJI、「中国軍関連企業」指定を否定
深センに本社を置くDJIは、ワシントンの連邦地裁判事に対し、国防総省のリストからの削除を求めた。同社は「中国軍に所有されておらず、支配下にもない」と主張している。
この指定により、DJIは「取引機会を失い、国家安全保障上の脅威とみなされ、複数の連邦政府機関との契約を禁止された」と訴えている。さらに、従業員が「頻繁かつ広範な中傷を受け、公共の場で繰り返し嫌がらせや侮辱を受けている」と述べている。
加えて、「米国内外の顧客がDJIとの既存契約を解除し、新規契約の締結を拒否している」という。
米国によるDJIへの監視強化
DJIが米国当局から警戒されるのは今回が初めてではない。2017年には米陸軍がDJI製ドローンの使用中止を部隊に指示し、2019年には米内務省がスパイ行為のリスクを懸念してDJI製ドローンの運用を停止している。
2020年には、米商務省がDJIを取引制限リストに追加。「中国国内での遺伝子収集や分析、ハイテク監視を通じて、広範囲にわたる人権侵害を可能にした」として、米企業によるDJIへの技術輸出を禁止した。
ウイグル強制労働防止法の影響も
今週初め、DJIは米税関国境警備局が同社のドローン輸入を阻止していると報告した。理由として「ウイグル強制労働防止法」が挙げられている。この法律は2021年にバイデン大統領が署名したもので、中国での強制労働によって生産された製品の輸入を禁止している。
この法律は、中国政府による少数民族ウイグル族に対する扱いへの懸念から起草された。ウイグル族は主に新疆ウイグル自治区で強制労働を強いられているとの報告が広く行われている。
DJIの訴訟は、米中間のハイテク分野における緊張関係が一層高まっていることを示している。両国の対立が深まる中、グローバル企業がどのように対応していくのか、今後の展開が注目される。