数多くの仮想通貨の中でもとりわけ愛好家が多く、今後の展開について目が離せないコインの一つがリップル(XRP)です。リップルは国際送金の高速・低コスト化を目的に作られました。世界各国の政府・金融機関や企業もリップルと提携しており、新しいデジタル金融システムの構築を担う存在として期待されています。
その一方でXRPの証券性を巡り、米証券取引委員会(SEC)との間で長期的な裁判を継続していることから、仮想通貨市場の注目をあつめています。リップルへの投資を考える中で、以下のような疑問を抱えている方も多いでしょう。
- リップルの価格はいつ上がる?
- 裁判に勝ったらリップルの価格はどこまで上がる?
- リップルはいつまでガチホすればいい?
本記事では、上記のような疑問をお持ちの方のために、リップルの今後の見通しについて解説します。リップルの概要、将来性がある理由、今後の価格予想、最新動向などに焦点を当てて詳しく見ていきましょう。
リップル(XRP)とは
本記事を通してリップルを理解するにあたり「リップル」「XRP」「XRP Ledger(XRPL)」の三つの概念について把握する必要があるため、以下のように整理します。
- リップル:リップル社を指す。XRPおよびXRPLの開発・運営を担う企業名。
- XRP:XRPレジャー上で流通する、基軸通貨の名称。
- XRP Ledger(XRPL):リップル社が開発したオープンソースのブロックチェーンプラットフォーム。国際送金のみならず、NFTゲームや分散型金融、メタバースなど様々な用途を実現することができる。
リップル(XRP)は、アメリカに本社を置くフィンテック企業Ripple Labs Inc.(リップル社)によって開発。「国際送金の高速・低コスト化」を目的に作られた仮想通貨であり、以下のような特徴を有しています。
- 独自分散型台帳管理システム:「XRP Ledger(XRPL)」という独自のブロックチェーンのような台帳を開発。これを国際間送金用の決済システムとして利用する。
- ブリッジ通貨機能:ある通貨とさらに別の通貨との橋渡しをする。他のアルトコインとは異なる性質を持つ。
- 高速で低コストの送金能力:送金スピードはおよそ3秒、取引一回あたりの手数料はおよそ10円弱
リップルは、カナダのプログラマーであるライアン・フガー(Ryan Fugger)によって、2004年に考案されました。彼は、お金の移動の不便さを解決することを目的とした、分散型のデジタル通貨システムの構築を目指していました。このシステムにおいては、銀行などの第三者機関を介することなく、個人間で直接取引ができることを条件としていました。
この技術的コンセプトの発案は、ビットコインの登場よりも4~5年早く、非常に先進的なアイディアでした。そして、時は経ち2012年。リップル・ラボ(現在のリップル社)が設立され、リップルのプロジェクトが本格的な稼働を始めました。迅速かつ低コストの送金能力を持つビットコインキャッシュ(BCH)などの通貨も存在しますが、リップルは特に金融機関や企業向け国際送金に特化したシステムと言えます。
リップル(XRP) の基本概要
ティッカーシンボル・通貨単位 | XRP |
ブロックチェーン | XRP Ledger(XRPL) |
上場年月日 | 2012年6月 |
価格 | ¥81.64※ |
時価総額 | ¥4,642,525,516,368.80(およそ4兆6000億円)※ |
時価総額ランキング | 7位※ |
総供給量(発行上限) | 1,000億枚 |
コンセンサスアルゴリズム | XRP LCP(XRP Ledger Consensus Protocol) |
国内取扱取引所 |
|
公式サイト | https://ripple.com/ |
※2024年11月6日時点、CoinMarketCap調べ
リップル(XRP)のチャート・過去の価格動向
ここからは、XRPのチャートから過去の価格動向を時系列にまとめます。
出典:CoinGecko XRP/USD 2013年~現在までの価格推移
年月 | 価格動向 |
2013年 | XRP上場。上場価格は約0.005ドル |
2013-2016年 | 大幅な価格変動はなく、0.01~0.05ドルで推移 |
2017年12月 | 仮想通貨バブルの影響により約2.5ドルに到達 |
2018年1月 | 上場以来最高値である、3.4ドルを記録 |
2018年12月 | 仮想通貨市場の下落の影響を受け、0.3ドル程度まで下落 |
2019-2020年 | 0.1-0.7ドルの範囲で推移 |
2020年12月 | 米国証券取引委員会(SEC)による提訴を受け、約0.3ドルまで下落 |
2021年4月 | 2度目のピークである1.95ドルを記録 |
2021-2023年 | 0.3-1.0ドルの範囲で推移。2023年1月、XRP保有者に仮想通貨フレア(FLR)がエアドロップされたものの、市場価格は反応を見せず。 |
2023年7月 | SECとの訴訟が進展した影響で、約0.4ドルから0.8ドルへ一時的に上昇。 |
2013年から2016年:リップル黎明期
2013年の上場以来、2016年のまでの間は、リップルの技術が徐々に認知された時期です。日本をはじめとして世界各国の金融機関や企業との提携が水面下で進みました。しかし、この期間の仮想通貨市場はまだ現在ほど成熟しておらず、XRPの価格に大きな変動は見られませんでした。この時期のXRPの価格は、およそ0.01ドルから0.05ドルの範囲で推移していました。
2017年:仮想通貨バブル
2017年は、ビットコインやイーサリアムはじめとする多くの仮想通貨の価格が急騰。仮想通貨のマイニングも盛んに行われ、いわゆる仮想通貨バブルと呼ばれる現象が発生しました。仮想通貨市場全体が急激に成長し、2017年12月にはXRPも約2.50ドルに到達。ひと月後の2018年1月には一時的に3ドルを超えました。このXRPの急騰の背景には、日本のSBIホールディングスをはじめとする、世界各国の金融機関との連携がありました。
2018年:仮想通貨バブル崩壊
2018年に入ると、前年の仮想通貨バブルにより過熱した仮想通貨市場全体が調整局面を迎えました。多くの投資家による、利益確定のために売却注文が殺到し、XRPの価格も急激に急降下。一時的に3ドルを超えていた価格は、2018年末には0.3ドル前後まで下落しました。
この急落の背景には、各国政府が仮想通貨市場に対する規制を強化し始めたことがありました。特に中国や韓国など、一部の国では仮想通貨取引所の閉鎖やICOの禁止が行われ、市場全体にネガティブな影響を与えました。
2019~2020年:新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響で世界的に経済活動が抑制されたため、仮想通貨市場全体が急落。2020年3月には、2018以来の底値である0.11ドルまで下落しました。
2020年12月:米SECによる提訴
XRPの証券性を巡り、リップル社は2020年12月に米SECから提訴を受けました。投資家の反応はネガティブなものであり、XRPの価格が大きく落ち込みました。SEC提訴後に価格が50%程度下落し、およそ0.17ドル程度まで落ち込みました。
2021年4月:XRP価格の急騰
2021年4月には、2018年以来の高値となる1.95ドルへと急騰しました。ここの急騰は、以下のような要因が絡み合ったことで引き起こされたとされています。
- 米大手CoinbaseのNASDAQ上場を控えた、暗号資産市場全体の好反応
- 2020年のビットコイン半減期後による暗号資産市場全体の価格上昇
2023年7月:XRP価格の急騰
次にリップルの価格が大きく動いたのは、2023年7月です。2023年7月13日にSECとの訴訟で「XRPは有価証券ではない」との判決が下されたことを受けて、市場はポジティブな反応を見せました。
それまで0.5ドル前後で推移していた価格が一気に0.85ドルまで上昇しました。
【11月22日最新】リップルのチャート分析:長期的な価格予想
次は、XRPの長期的な価格推移について、テクニカル分析を用いて予想していきます。いったん要点を以下にまとめます。
- 重要トレンドラインを大きく抜け、買いが強まっている
- 2021年4月に記録した高値1.97ドルに注目
上記について順番に解説していきます。
①重要トレンドラインを大きく抜け、買いが強まっている
出典:TradingView XRP/USD 月足
上記のチャートは、2017年~2024年11月現在までの月足の値動きを示したものです。
2018年1月に記録した過去最高値の3.4ドルと、2021年4月に記録した2番目の高値1.97ドルを結んだライン(緑色の斜めライン)を引きます。チャートの時間軸が大きくなるほど、資金力のある投資家に意識されやすいため、XRPの今後の価格動向を占うための重要なトレンドラインとなります。
9月、10月はともにトレンドライン上で買い勢と売り勢の攻防が繰り広げられて両者は拮抗していました。しかし、11月のローソク足はトレンドラインから大きくバウンドし、ラインからかなり離れた位置の1.35ドル付近まで価格が到達しています。
この急騰の要因は、11月上旬に行われた米大統領選の結果、仮想通貨関連で多くの公約を掲げてきたトランプ氏の勝利でしょう。これにより、XRPのみならず仮想通貨市場全体に多くの買い注文が入りました。
②2021年4月に記録した高値1.97ドルに注目
出典:TradingView XRP/USD 週足
上場以来2番目の高値1.97ドル(赤矢印)に注目です。この価格を上回ったら、次の高値はいよいよ上場以来最高値(ATH)の3.33ドル付近です。
XRPは上場以来時価総額トップ10に位置し続け、多くのトレーダーに注目されながらもATHの3.33ドルを更新できずにいました。その期間は6年以上にわたり、存在感が強い仮想通貨の中でこれほど長い間ATHを更新せず、レンジ期間を形成したコインはXRPの他にありません。
一般的に、レンジ期間が長ければ長いほど、抵抗帯を突破した後の価格の動きは強まると言われます。これは、レンジ相場は、抵抗帯をブレイクするためのパワーを貯めるための期間であるためです。
よって、6年分のパワーを貯めた後のATHを更新した後の上昇は、多くの人が予想するよりも力強い値動きになると見込まれます。
【11月22日最新】リップルのチャート分析:短期的な価格予想
ここからは、短いスパン(数か月程度)でのXRPの価格推移について、テクニカル分析を用いて予想していきます。いったん要点を以下にまとめます。
- 11月末時点で1.42ドルを上回っていると、上昇の勢いが増す
- 1.72ドル付近の抵抗帯に注意
上記について順番に解説します。
①11月末時点で1.42ドルを上回っていると、上昇の勢いが増す
出典:TradingView XRP/USD 月足
現在の価格がおよそ1.35ドルであることを踏まえ、紫色の小さい枠に注目です。この価格帯は、2021年8月、9月、11月に3度にわたり、上昇しようとトライされた価格帯です。
紫色の枠内では1.3~1.4ドル付近で長い上ヒゲをつけて、価格が反発しているのが確認できます。これは、価格が上昇しようとしたものの、上値が重く上方向への抵抗が強かったことを意味します。
現在の価格は、上記で述べた抵抗が強い価格帯に位置しています。月内にこの価格帯の上辺である1.42ドルを超え、そのまま11月の月足が閉じると、抵抗帯は抜けたと意識され、更に買い圧が強まるでしょう。
もし1.3~1.4ドルの抵抗帯の価格帯が強く、上昇の行く手を阻まれてまた長い上ヒゲをつけて11月の月足がクローズした場合、いったん上昇はひと段落するでしょう。
更なる価格上昇を目指す買い勢にとって、今月末で月足がクローズする時点のXRPの価格は、今後の価格上昇の勢いを図るためのかなり重要なポイントとなります。
②1.72ドル付近の抵抗帯に注意
出典:TradingView XRP/USD 月足
上記のチャートは、フィボナッチ・リトレースメントと呼ばれるインジケーターを用いて、上昇の行く手を阻む抵抗帯のありかを予想したものです。
チャートにおいては「半値」が意識されます。半値とは、価格が上昇または下落した後、動いた幅の半分まで戻ることを意味します。この半値の概念を踏まえ、次なる抵抗帯を探してみましょう。
2018年1月に記録したATHの3.33ドルと2020年3月に記録した0.11ドルまでの値動きを一つの下落と捉え、最高値と最低値間でフィボナッチ・リトレースメントを引きます。
チャート左側に、フィボナッチレベルである「0.236」「0.382」「0.5」「0.618」「0.786」「1」が表示されていることが確認できます。
価格は、このフィボナッチレベルをターゲットにする推移する習性があります。現在は「0.382」レベル付近で抵抗帯に上昇が阻まれていることがわかります。
そして、次のフィボナッチレベルは「0.5」。これはフィボナッチライン間の半分の価格であり、上述の半値にあたる価格で多くのトレーダーに意識されます。
2021年4月、5月も半値付近で大きな上ヒゲをつけて上昇を阻まれ、意識された価格帯であったことが確認できます。よって、今後この価格帯に到達した際は、また売り勢と買い勢により攻防が繰り広げられるでしょう。
リップル将来価格の予測【2024年以降】
ここからは、リップルの将来価格についてテクニカル分析を用いて予測してみます。価格予想においては、「フィボナッチ・リトレースメント」と呼ばれるインジケーターを用いて分析します。
フィボナッチ・リトレースメントは、フィボナッチ比率と呼ばれる数学的な比率を用いて、チャートにおける反発や反落のポイントを見極めるのに適しています。
これを用いることで、価格がどれくらいまで到達するかを予測するのに役立ちます。言い換えると、値動きはそれぞれのフィボナッチレベルラインをターゲットにする傾向があるということです。つまり次のATHは、フィボナッチ指数である1.618倍、2.618倍、3.618倍、4.236倍といったレベルを目指すと予想することが出来ます。
以下のチャートは、過去のビットコインのチャートにフィボナッチ・リトレースメントを引き、その時点におけるビットコインの到達予想価格を観察したものです。
出典:TradingView BTC/USD 月足
チャート左側に表示されている、1.618倍、2.618倍、3.618倍、4.236倍のレベルに到達した際の値動きに注目です。
上記のチャートでは、2017年12月に記録した当時のATHである19,500ドル付近(A地点)をひとつの頂点としました。また、A地点を頂点としたときの下降トレンド波の最安値で、2018年12月に記録した3,100ドル(B地点)の間にフィボナッチ・リトレースメントを引いた例です。
フィボナッチ・リトレースメントの1.618倍、2.618倍、3.618倍、4.236倍のそれぞれのレベルに到達した際に、ローソク足が長めのヒゲをつけて価格が綺麗に反応している事が観察できます。このことから、フィボナッチ・リトレースメントは価格予想のツールとして優れていると言えるでしょう。
それでは上記を踏まえ、本題のXRPの将来価格を予測してみましょう。
出典:TradingView XRP/USD 月足
上記のチャートでは、2018年1月に記録したATHの3.4ドル(A地点)、A地点を頂点としたときの下降トレンド波の最安値で、2020年3月に記録した0.11ドル(B地点)の間にフィボナッチ・リトレースメントを引いた例です。
フィボナッチ・リトレースメントの1.618倍、2.618倍、3.618倍、4.236倍のそれぞれのレベルまで、かなりの値幅があることがわかります。ここから導き出されるXRPの将来価格は以下の通りです。
フィボナッチ・レベル | 価格 |
1.618 | 5.3ドル(現在価格からおよそ10倍) |
2.618 | 8.4ドル(現在価格からおよそ15倍) |
3.618 | 11.6ドル(現在価格からおよそ21倍) |
4.236 | 13.6ドル(現在価格からおよそ25倍) |
上記の予測結果から、1XRPあたりの将来価格として100万円や50万円への到達は難しいかもしれませんが、1000円は十分射程圏内と言えるでしょう。XRPの上場時の価格はおよそ0.005ドルでした。よって上記の予測結果の最低ラインに達した場合でも、およそ1,000倍上昇の仮想通貨となります。
ただし、上記はあくまでも、テクニカル分析を用いて導き出した価格であることに留意する必要があります。リップルの今後の行方は、技術の進展度合い、相場の地合い、SECとの訴訟問題等のファンダメンタルズ的な要素も影響します。今後も、チャート以外の行方にも注視しておくことが重要です。
リップルの将来性
ここからは、リップルの将来性がある理由について、以下の3つの観点から見解を述べます。
- 新たな国際決済システムの基盤となる
- 世界各国の中央銀行とCBDCプロジェクトを推進している
- 世界各国の銀行や企業により「RippleNet」が活用されている
上記について説明します。
①新たな国際決済システムの基盤となる
現在、世界各国の中央銀行や金融機関は、新たなデジタル金融システムを構築しています。新システムにおいては、ブロックチェーンテクノロジーを用いてお金のデジタル化が進められていきます。 中でも、金融システムの中核の一つである国際間決済システムの刷新について、焦点が当てられています。
現行の国際間決済システムにおいて電⽂送受信インフラを提供しているのが「SWIFT(国際銀行間金融通信協会)」です。これは、現行の国際送金を一手に担っており、ベルギーに本拠を置く非営利組織です。ただし、現行のSWIFTの送金システムにおいては以下のような問題があります。
- 送金における仲介が多い(送金元→中継銀行1→中継銀行2→送金先)
- 送金コストが高い(約1,750円~8,500円+金額の数パーセントの為替手数料)
- 送金に時間がかかる(3~6営業日)
そこで、上記の課題を解決するために、「ISO20022」と呼ばれる新たな国際金融規格の導入が議論されました。「ISO20022」は以下の特徴を有します。
- 国際標準化機構が定める「金融通信メッセージの世界共通の規格」である
- XML形式のフォーマットである
- 外国送金電文で利用することで、現行より多くの情報を授受可能となる
- 透明性が高く、追跡しやすい取引を可能にする
- マネーロンダリング対策を強化する
SWIFTは、2023年3月から2025年11月にかけて、金融機関が外国送金に使用する電文について、現行のMTフォーマットから上記のISO20022へ順次移行する旨を公表しています。
これは、以下を意味しています。
- 2025年11⽉以降、国際送金においては「ISO20022」の規格に準拠していなければデータ送受信を⾏えなくなる
- 外国送⾦業務を⾏うすべての企業が、この移⾏に対応する必要がある
ISO20022利用により、従来別々であった国際間送金や各国地場決済制度の電文フォーマットが統一・標準化されます。これにより、送金取引がよりスピーディに行われることが期待されています。そして、2024年11月現在、ISO20022に準拠している暗号資産(仮想通貨)は、全仮想通貨の中で以下の9種類のみです。
通貨名 | 特徴 |
リップル(XRP) | 国際間金融取引の実施方法を変革することを目的として開発 |
ステラ(XLM) | 国境を越えた個人間送金を目的とするネットワーク |
ヘデラ(HBAR) | 独自の分散型元帳技術「ハッシュグラフコンセンサス」を採用 |
イオタ(IOTA) | モノのインターネット (IoT) エコシステムに焦点を当てた独自の暗号通貨および分散型台帳テクノロジー |
XDC | 国境を越えた取引、貿易金融、サプライ チェーン管理を促進するブロックチェーン |
アルゴ(ALGO) | 独自コンセンサスアルゴリズム「PPoS」を採用する環境配慮型ブロックチェーン |
カルダノ(ADA) | 堅牢なブロックチェーンであり医療、教育、小売、金融など幅広い分野での活用が期待されている |
ヴァージ(XVG) | 取引ユーザーの匿名性・プライバシーを重視した暗号通貨 |
クオント(QNT) | 複数のブロックチェーンと従来の金融システム間をつなぐことを目的として開発 |
上記の「ISO20022」に準拠する数少ない仮想通貨を踏まえ、話を遡って整理してみましょう。
現在世界各国の金融機関で利用されている国際送金規格「SWIFT」は約200か国・地域が参加しており、ネットワーク全体の決済額は1日あたり580兆円にも上ります。この「SWIFT」は、2025年11月までに「ISO20022」へ切替えることが制度上求められています。
「ISO20022」の規格に合致する仮想通貨は数少なく、国際送金システムにおいてはXRPの利用が想定されています。以上の点から、XRPは将来的に超巨大市場を担う仮想通貨となる事が期待されており、将来性がある暗号資産といえるでしょう。
②世界各国の中央銀行とCBDCプロジェクトを推進している
CBDCとは、新たなデジタル金融システムの構築に向けて、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指します。「Central Bank Digital Currency」の略で、いずれ世界の中央銀行の9割がCBDCを検討しているといわれています。厳密には違いますが、CBDCは一般的に、USDTをはじめとするステーブルコインのように法定通貨と価値が連動するものと認識されています。
CBDC発行に向け、リップルは、CBDCの発行や管理、取引、償還を可能にするプラットフォーム「Ripple CBDC Platform」を2023年5月に開始しました。このプラットフォームは、リップル社の開発するブロックチェーン「XRPL」をベースにしています。政府機関や金融機関、中央銀行などがユーザーとして利用でき、CBDCのほかステーブルコインの発行にも対応しています。
CBDCプラットフォームの利点は以下の通りです。
迅速なトランザクション
XRPLは高速なコンセンサスアルゴリズムで動作しているため、ほぼ瞬時の資金送金を可能にします。
スケーラビリティ
XRPレジャーは1 秒あたりに1,500回程度の大量トランザクションを処理できます。そのため、大きなトランザクション需要がある国に適しています。
相互運用性
XRPL上では異なる通貨間の資金移動における手数料や時間などの摩擦を軽減します。これによりシームレスな国境を越えた取引が可能になり、国際貿易活動が促進されます。
カスタマイズ性
取引手数料、プライバシー設定、コンプライアンスプロトコルなどのCBDCの機能をカスタマイズできます。これにより、各国のCBDCにおける特定のニーズや要件を満たすように柔軟に調整可能です。
このようなメリットを持つことから、すでにいくつかの国がリップルとCBDCに関する協業を発表しています。主な国々は以下の通りです。
国名 | 内容 |
パラオ | 2021年にクロスボーダー決済や米ドル裏付けステーブルコインの開発を目的に提携 |
ブータン | 2021年にリップル社のCBDC台帳を用いた決済や国際送金の試験運用を開始 |
モンテネグロ | 2023年1月にデジタル通貨の実証実験プロジェクトを開始 |
ジョージア | ジョージア国立銀行の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の「デジタル通貨ラリ(GEL)」プロジェクトで、リップルが唯一の技術パートナーに選出 |
コロンビア | コロンビアの中央銀行であるコロンビア共和国銀行と提携し、ブロックチェーン技術の試験運用を行うことを発表 |
上記の国々のみならず、現在、全世界で90%以上の国家がCBDCを研究、開発、実装しています。上記の国のCBDC実証実験が成功した場合、今後も、各国の政府や中央銀行による「Ripple CBDC Platform」の利用が促進されるでしょう。これにより、リップルのエコシステムは巨大化していくものと見込まれます。
③世界各国の銀行や企業により「XRP」や「RippleNet」が活用されている
リップルが提供する「RippleNet」は、リアルタイムで効率的な国際送金を行うための法人向け国際送金ネットワークです。従来の国際送金システムが抱えていた、手数料の高さや送金スピードの遅さなどの問題点を解決することを目的としています。また、「XRP」を媒介とした安価かつスピーディーな国際送金を実現するために開発されました。
RippleNetには世界中の金融機関や送金サービス事業者が参加しており、各事業者はネットワークに参加している他の金融機関とリアルタイムで決済を行うことができます。
日本国内においては、「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」や「SBIホールディングス」など、名だたる企業がXRPの活用に積極的です。特にSBIホールディングスは、Web3コミュニティーにおけるXRPLの活用を推進する声明を発表するなど、日本国内でのXRP普及に取り組んでいます。
その他、リップルネットには世界45ヵ国以上にわたる300社以上の金融機関・企業が参加しています。これほど世界各国の金融機関・企業と提携数のある仮想通貨はXRPのほかになく、リップルの提供する技術が注目されている証といえるでしょう。
リップルの今後の見通し
リップルの以下の最新動向から、今後の見通しについて見解を述べます。
- XRPのETF承認申請
- リップルと米国証券取引委員会(SEC)との訴訟
- 欧州連合(EU)の暗号資産市場規制法(MiCA法)
上記について順番に解説します。
①XRPのETF承認申請
XRPのETFの承認ヨーロッパの大手暗号資産(仮想通貨)投資企業「21Shares」は、11月1日、XRPの現物現物上場投資信託(ETF)の申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出。XRPの現物ETFにおいては、米暗号資産(仮想通貨)運用会社「Bitwise」とオーストラリアの暗号資産(仮想通貨)投資企業「Canary Capital」に続く3件目の申請となりました。
また、米資産運用会社グレースケールは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、XRP、アバランチ(AVAX)を含む暗号資産バスケット型投資信託をETF(上場投資信託)に転換する申請を米証券取引委員会(SEC)に提出。このETFを購入した投資家は、複数の仮想通貨に投資することと同義となります。
こうした流れの中、米リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、10月に公開されたブルームバーグによるインタビューの中で、今後、暗号資産(仮想通貨)XRPのETF(投資信託)が承認されるのは必然的だと述べました。
2024年1月にはビットコイン現物ETFが上場し、2024年7月にはイーサリアム現物ETFが上場。これにより仮想通貨投資への間口が広がり、莫大な資金を持つ機関投資家が資金が、仮想通貨市場へ流入し始めました。
米国では、ビットコインとイーサリアムの現物ETFはすでに承認され取引されていますが、ソラナやライトコインなどのアルトコインETFの申請も進行中。
今後XRPのETFが承認された場合、XRPを含め様々な仮想通貨に資金が流入し、価格に上昇圧力がかかるでしょう。これにより、XRPのみならず、仮想通貨市場全体の取引量もますます活発化すると見込まれます。
②リップルと米国証券取引委員会(SEC)との訴訟
「リップルがやばい」「リップルの将来性がない」と言われる理由の一つに、米国証券取引委員会(SEC)との訴訟問題があります。現在リップル社とSECの間では、約4年にわたり裁判が継続しています。リップル社がリップル(XRP)を有価証券登録せずに販売してきたことが違法かどうかが争われており、裁判の結果、2024年8月にリップル社は一部勝訴し、次のような判決が出ました。
- 機関投資家向けに販売したXRPは有価証券にあたるため、違法な証券販売である
- 個人向けに販売したXRPは有価証券にあたらないため、違法な販売はしていない
この内容により、リップル社は、1億2500万ドル(183億円)の罰金を科せられました。XRPの機関投資家向け売却取引が証券取引法に違反していると認定され、罰金が科された形です。ただし、罰金額はSECの訴える20億ドルの制裁金から9割減額した額でした。
このため、市場はリップルはSECとの裁判に実質的に勝利したと受け止め、XRPの価格は前日から26%上昇し0.63ドルとなりました。8月5日以来の仮想通貨市場の暴落からほとんどの損失を取り戻した形になります。
これを受けて、米証券取引委員会(SEC)は10月17日、「民事上訴前議論陳述書」(フォームC)を提出しました。内容は、XRPが販売されたことなどについて証券法違反ではないとした判決に誤りがなかったか、審査を求めたものです。
一方でリップル社も交差上訴の通知を提出し、「投資契約」の定義に関する争う点が残されていないことを明確にするために対応しました。
これによってリップル社とSECの法廷闘争は新たな局面を迎えることになります。今後の法的争いの展開により、XRPの価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③欧州連合(EU)の暗号資産市場規制法(MiCA法)
欧州連合(EU)の暗号資産市場(MiCA)規制が2024年12月30日から適用されます。MiCA法はEU加盟国間で暗号資産に関する一貫した規制枠組みを作成することを目的としています。中でも注目の要素はステーブルコインに関するフレームワークです。この規制下では、ステーブルコイン発行者は少なくとも1つのEU加盟国で電子マネー認可を取得し、裏付け資産に関する厳格なルールに従う必要があるとのこと。
世界最大のステーブルコインであるテザー(USDT)は、まだ電子マネー認可を取得していません。このため、Coinbase、Binance、Bitstamp、Kraken、OKX、Upholdなどの大手取引所が、6月のMiCAガイドライン施行以降、ユーロテザー(EURT)やUSDTの上場廃止を行っています。特にOKXは、欧州市場でUSDTの全通貨ペアを廃止したことが確認されました。
ステーブルコイン市場は、2024年5月時点で約25兆円(1,600億ドル)を超える大規模な市場です。その中でも最大であるUSDTのシェアは、ステーブルコイン市場の75%、時価総額1180億ドルに上るとされています。
USDTは多くの取引所でビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)などの主要仮想通貨との取引ペアの中心となっています。そのため、2024年12月30日のMiCA法適用によるUSDTの上場廃止は、取引所の収益やトークンの流動性に大きな影響を与えると見込まれています。今後は市場のトレンドが大きく変わることが予想されます。
また、ステーブルコイン業界シェアナンバーワンのUSDTがMICA法に遵守できないと予想される中、新たなステーブルコインのリリースが発表されています。
発行元社名 | 概要 |
リップル社 | 独自の米ドルステーブルコイン「RLUSD」の立ち上げ(ローンチ)RPレジャー(XRP台帳)およびイーサリアムのブロックチェーン上での発行 |
Hex Trust社 | 2024年5月21日に、Flareを基盤とした初の米ドル連動ステーブルコインとなる「USDX」を発表 |
Next Generation社 | Stellarブロックチェーン上でのユーロ連動型ステーブルコイン「EURT」の発行を発表 |
Paypal | SOLANAネットワーク上に新たなステーブルコインPYUSDを発行 |
ロシア政府 | 対外経済活動(FEA)を強化するため、2つの主要な仮想通貨取引所の立ち上げを計画。中国人民元やBRICS通貨と連動した新しいステーブルコインを発行予定だと発表.新しい経済システムへのXRP取り入れを示唆しています。 |
そして、この中でも一番の注目はリップル社の「RLUSD」です。RLUSDは規制への遵守を念頭に置いたステーブルコインであり、RLUSDの登場によりステーブルコイン市場の潮目が変わるかもしれません。
さらにリップル社は日本政府とも積極的に関わっています。そのため、今後おそらく日本のステーブルコイン市場にも進出してくるのではないかと思われます。日本の新たなデジタル経済に大きく関わってくる、リップル社およびXRPの動向にますます注目です。
まとめ
本記事では、リップル(XRP)主な特徴、今後の価格予測、将来性について解説しました。XRPは、「国際送金の高速・低コスト化」を目的に、リップル社により開発された仮想通貨です。
現在XRPの価格は、ボックス相場のために狭いレンジの中で上昇、下降を繰り返しています。ただ、ビットコインの最高値更新にけん引されて、仮想通貨市場に活気が戻ってきたため、これからは上昇に向かう可能性が高いでしょう。
リップルは新たな国際決済システムの基盤となる事や、世界各国の中央銀行や企業と提携していることから、将来性は確実なものとなる見込みです。
最新動向においても、XRPのETF承認申請やSECとの裁判に進展があったことから、XRPの価格上昇を後押しするニュースが続いています。今後のリップルの更なる進歩に期待しましょう。