イーサリアム(ETH)とは?特徴や仕組みを初心者向けに解説

イーサリアム(Ethereum/ETH)とは、革新的な技術を用いて現在ビットコインに次いで時価総額2位を誇る仮想通貨/プラットフォームのことです。イーサリアムは、これからの発展が見込まれるWeb3.0でも構築基盤として機能するため、今後も目が離せません。

しかし、イーサリアム(Ethereum/ETH)がどういった機能を持つ仮想通貨なのか分からない方も多いはず。本記事では、イーサリアム(Ethereum/ETH)とはどういった仮想通貨なのか、仕組みや特徴に触れながらわかりやすく解説します。

仮想通貨イーサリアム(Ethereum/ETH)とは?

イーサリアム公式サイト - トップページ

イーサリアム(Ethereum/ETH)とは、分散型アプリケーション(DApps)を作成するためのブロックチェーンプラットフォーム兼、暗号資産(仮想通貨)のことです。イーサリアムはビットコインとは違い、単なるデジタル通貨だけでなく、革新的な技術、スマートコントラクトにより様々な場面で活用されています。

イーサリアムは、ロシア系カナダ人のプログラマーであるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)によって提案され、2013年にホワイトペーパーが発表されました。2014年には共同創設者のギャヴィン・ウッド(Gavin Wood)やジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)らと共にプロジェクトが正式にスタート。資金調達のための仮想通貨ICO(Initial Coin Offering)が実施され、翌年2015年にイーサリアムのネットワークは正式に稼働を開始しました。

イーサリアムのネイティブ通貨である「イーサ(ETH)」はおすすめの仮想通貨の1つで、同プラットフォーム上で取引手数料やサービスの支払いに使用されます。2024年7月の時点で時価総額は約60兆円を超え、第2位の仮想通貨としてビットコインの購入と同様におすすめできる投資対象です。

正式名称 イーサリアム(Ethereum)
ティッカーシンボル ETH
創設者 Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)、Gavin Wood(ギャビン・ウッド)、Joseph Lubin(ジョセフ・ルービン)
サービスイン 2015年
特徴
  • DAppsのプラットフォーム
  • スマートコントラクトのサポート
用途
  • DApps
  • DeFi(分散型金融)
  • NFT(非代替性トークン)
  • トークン発行
価格 *¥501,112.03
時価総額* *¥60,270,000,000,000
時価総額ランキング *2位
公式サイト https://ethereum.org

*2024年7月27日時点(CoinMarketCap調べ)

イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の違い

イーサリアムとビットコイン

イーサリアムとビットコインは、どちらも仮想通貨ですが、その目的や機能にはいくつかの違いがあります。ビットコインはデジタル通貨として、価値の保存と送金が主な目的です。一方、イーサリアムはスマートコントラクトと分散型アプリケーション(DApps)を実行するプラットフォーム兼、仮想通貨として機能しています。

イーサリアムとビットコインの大きな違いは、以下のとおりです。

イーサリアム ビットコイン
アルゴリズム PoS(Proof of Stake/プルーフ・オブ・ステーク) PoW(Proof of Work /プルーフ・オブ・ワーク)
ブロック生成時間 約15秒 約10分
発行上限 なし 2100万BTC

ちなみに、ビットコインとイーサリアムそれぞれで採用されているコンセンサスアルゴリズムの違いは以下のとおりです。

  • PoW(Proof of Work /プルーフ・オブ・ワーク):計算力を使って問題を解き、ブロックチェーンの取引を検証する仕組み。エネルギー消費が多いのが特徴です。
  • PoS(Proof of Stake/プルーフ・オブ・ステーク):仮想通貨を保有する量に応じてブロック生成の権利を得る仕組み。エネルギー効率が高いことが特徴です。

イーサリアムの価格は、度々ビットコインによって左右されるため、ビットコインの将来性をチェックするようにしましょう。

イーサリアム(ETH)の仕組み

メタバース空間にあるイーサリアムと建物

イーサリアムとは、様々な機能を備える仮想通貨、兼プラットフォームのこと。中でも、特にイーサリアムがリップル(XRP)などのアルトコイン・プラットフォームと一線を画している機能は主に以下3つの仕組みです。

  • 分散型台帳技術(ブロックチェーン)
  • スマートコントラクト
  • DApps

それぞれ詳しく解説します。

分散型台帳技術(ブロックチェーン)

イーサリアムは、ブロックチェーンという技術を使って取引やスマートコントラクトの記録を行います。ブロックチェーンは、取引情報を「ブロック」という単位にまとめ、それを鎖のように繋げて保存する技術のこと。

ブロックチェーン技術により、データの改ざんが非常に難しくなります。イーサリアムのブロックチェーンは、多数のコンピュータ(ノード)によって運営されており、取引や契約が正しく行われることを保証しています。最近ではソラナ(SOL)やスイ(SUI)のような新興ブロックチェーンも注目されています。

スマートコントラクト

スマートコントラクトとは、自己実行型の契約のこと。特定の条件が満たされると自動的に契約が実行されます。例えば、ある条件が成立したときに自動的に支払いが行われるといった契約を、イーサリアム上でプログラムとして実行可能です。スマートコントラクトはブロックチェーン上に記録されるため、改ざんが難しく、透明性が高いという特徴があります。

DApps

イーサリアム上では、メタバースなどのDAppsと呼ばれる分散型アプリケーションを開発することができます。DAppsとは、中央管理者が存在しないアプリケーションのこと。ブロックチェーン技術を活用して運営されるため、サービスの透明性やセキュリティが向上し、ユーザーにとって安心して利用できるアプリケーションの開発が可能です。

イーサリアム(ETH)の特徴

イーサリアムと価格チャート

イーサリアム(ETH)とは、大きく以下4つの特徴を持つ、仮想通貨/プラットフォームのことです。

  • 汎用性の高いプラットフォーム
  • DeFiエコシステムの中心
  • ERC-20およびERC-721トークン規格
  • 大規模な開発者コミュニティと継続的なアップグレード

それぞれ解説します。

汎用性の高いプラットフォーム

イーサリアムは、単なるデジタル通貨ではなく、幅広い用途に対応できるプラットフォームです。スマートコントラクトやDAppsの開発が可能なため、金融、ゲーム、不動産、保険など多様な業界で利用されています。今後の成長が期待されているWeb3.0に全般的に対応しているため、イーサリアムの将来性にも注目です。

DeFi(分散型金融)エコシステムの中心

イーサリアムは、DeFiエコシステムの基盤となっています。DeFiは、中央の管理者なしに、分散型で金融サービスを実現する仕組みのこと。イーサリアム上で開発することで、銀行などの中間機関を介さずに、貸付、取引、保険などの金融サービスを利用可能となります。

ERC-20およびERC-721トークン規格

イーサリアムは、ERC-20およびERC-721といったトークン規格を採用。現在の上場予定仮想通貨にも、多く取り入れられています。

  • ERC-20:同一仕様のトークンを発行するための規格で、ほとんどのICOトークンがこの規格を使用しています。ICOでは、過去には価格が1000倍以上になった通貨も少なくありません。
  • ERC-721:NFT(非代替性トークン)のための規格で、デジタルアートやコレクターアイテムの取引にも利用されています。

大規模な開発者コミュニティと継続的なアップグレード

イーサリアムは大規模な開発者コミュニティを持ち、新しい技術やツールが迅速に開発され、プラットフォームの改善が継続的に行われています。活発な活動により、多くの新しいプロジェクトやサービス、ミームコインがイーサリアム上で次々と誕生。

さらに、技術的なアップグレードも継続的に実施されています。例えばイーサリアム2.0への移行はスケーラビリティとエネルギー効率を向上させる重要なステップとなっています。

イーサリアム(ETH)の歴史

1枚のイーサリアムとコード

イーサリアム(ETH)がこれまでに歩んできた道のり、歴史を解説します。より深くイーサリアムとはどういうものなのか理解しましょう。

イーサリアムの構想と誕生【2013~2015年の歴史】

  • 2013年:ヴィタリック・ブテリンがイーサリアムのアイデアを発表。ビットコインの限界を感じていた彼は、スマートコントラクトをサポートする分散型プラットフォームの必要性を提唱しました。
  • 2014年:イーサリアムのホワイトペーパーが公開され、プロジェクトの開発資金を集めるためにICOを実施。ICOでは、約3,100万ドル相当のビットコインが集まりました。
  • 2015年:イーサリアムの最初のバージョンである「フロンティア(Frontier)」がリリースされました。開発者はスマートコントラクトやDAppsを作成し、イーサリアムのブロックチェーン上で実行できるようになりました。

イーサリアムの成長と課題【2016~2017年の歴史】

  • 2016年:イーサリアム上で最初の大規模なプロジェクトである「The DAO(Decentralized Autonomous Organization)」が立ち上げられました。しかし、同年6月にThe DAOがハッキングされ、約5000万ドル相当のイーサが盗まれる事件が発生。この事件を受けて、イーサリアムはハードフォークを実施し、ハッキング被害を回復するためにイーサリアムとイーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の2つのブロックチェーンに分かれました。
  • 2017年:イーサリアムの人気が急上昇し、価格が大幅に上昇。また、ERC-20トークン規格が標準化され、多くのICOプロジェクトがイーサリアム上で資金調達を行いました。この年、イーサリアムはDAppsとスマートコントラクトの主要プラットフォームとしての地位を確立しました。

DeFiとNFTの台頭【2018-2021年の歴史】

  • 2018年:仮想通貨市場全体が調整局面に入り、価格が大幅に下落。しかし、イーサリアムの開発は継続され、スケーラビリティ向上や新しい機能の追加が進められました。
  • 2019年:イーサリアムのアップグレードである「イスタンブール」が実施され、ネットワークの効率とセキュリティが向上。また、DeFiエコシステムが急成長し、イーサリアム上での貸付、取引、資産運用などのサービスが急増しました。
  • 2020年:DeFiプロジェクトがさらに拡大し、イーサリアム上の総ロックアップ資産(TVL)が急増。加えて、柴犬コインなどのNFTの人気が高まり、デジタルアートやコレクターズアイテムの取引が活発化しました。NFTを含めた柴犬コインの将来性は、現在も期待され続けています。

イーサリアム2.0への移行と今後の展望【2022年以降の歴史】

  • 2022年:イーサリアム2.0への移行が本格化しました。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)に基づく新しいコンセンサスアルゴリズムを導入し、スケーラビリティとエネルギー効率が大幅に向上。この移行により、イーサリアムのネットワークはより多くのトランザクションを処理できるようになりました。
  • 2023年:DeFiやNFTゲーム、DAppsの基盤としての地位が一層強固になりました。多くの新しいプロジェクトがサービスが仮想通貨エアドロップを実施するなど、イーサリアムはブロックチェーン技術の最前線に位置しています。
  • 2024年:イーサリアムのETF(上場投資信託)が米国証券取引委員会(SEC)によって初めて承認されました。イーサリアムへの仮想通貨投資がよりアクセスしやすくなり、機関投資家からの大規模な資金流入が期待されています。SECの承認は、イーサリアムと仮想通貨市場全体にとって大きなマイルストーンとなりました。

イーサリアム(ETH)の使い道

メタバース空間にあるイーサリアムと建物

イーサリアム(ETH)の使い道を紹介します。イーサリアム(ETH)は大きく以下3つの分野で利用されています。

  • トークン発行と資金調達
  • NFT(非代替性トークン)
  • トークンエコノミーの構築

それぞれ詳しく見てみましょう。

トークン発行と資金調達

イーサリアムとは、ERC-20トークンやERC-721トークンを簡単に発行できるプラットフォームです。企業やプロジェクトは仮想通貨プレセールやICO、IEO(Initial Exchange Offering)を通じて資金調達を行うことができます。特にスタートアップ企業にとって、迅速かつ効率的に資金を集める手段として利用されています。

NFT(非代替性トークン)

イーサリアムは、NFTの主要なプラットフォームとしても機能します。ERC-721規格を使用して、デジタルアートやコレクターズアイテムなど、ユニークなデジタル資産を作成・取引することが可能。OpenSeaやRaribleといったマーケットプレイスでは、アーティストやクリエイターが自分の作品をNFTとして販売しています。

トークンエコノミーの構築

イーサリアムは、独自のトークンエコノミーを構築するためのプラットフォームとしても利用されています。企業やプロジェクトは、独自のトークンを発行し、そのトークンを利用してエコシステム内での取引や報酬システムを構築可能です。例えば、特定のサービスの利用料としてトークンを使用したり、コミュニティメンバーに対するインセンティブとしてトークンを配布したりすることができます。

イーサリアム(ETH)のリスクと課題

デジタル画面の前にある1枚のイーサリアム

イーサリアム(ETH)は、今後もますます需要の増加が期待できるプラットフォーム/仮想通貨ですが、課題やリスクも存在します。ここでは、以下3つの課題について解説します。

  • スケーラビリティの問題
  • セキュリティの脆弱性
  • 規制の不確実性

課題を把握することで、投資や利用における判断材料が増え、より賢明な意思決定が可能になります。

スケーラビリティの問題

イーサリアムは多くのトランザクションを処理するために設計されていますが、依然としてスケーラビリティの問題に直面しています。ネットワークのトラフィックが増加すると、取引手数料(ガス代)が高騰し、取引の遅延が発生することも。ソラナ(SOL)のような処理速度が優秀なライバルブロックチェーンプロジェクトも登場しています。

解決策として、イーサリアム2.0への移行やレイヤー2ソリューション(例:Optimism、Arbitrum)の導入が進められています。

セキュリティの脆弱性

スマートコントラクトは強力なツールですが、そのコードにバグや脆弱性が存在すると、ハッキングのリスクが高まります。過去にはDAOハック事件やParitiyマルチシグウォレットの脆弱性が話題になりました。

規制の不確実性

仮想通貨全体としての規制の枠組みがまだ確立されていないため、イーサリアムも規制の変更や新たな法律による影響を受けることがあります。特に、金融サービスやICOに関連する規制は、プロジェクトの進行や運営に大きな影響を与える可能性が高いです。

過去には、アメリカの中央銀行(FRB)が利上げを進めた他、ステーブルコインTerraが崩壊したことにより、仮想通貨市場は大暴落。2022年の初めには42万円代であったイーサリアムですが、6月には13万円台に落ち込みました。

イーサリアム(ETH)に関するよくある質問

イーサリアムとはどんな仮想通貨ですか?

イーサリアムの特徴は?

イーサリアムの将来性は?

仮想通貨イーサリアムとビットコインの違いは?

イーサリアム(ETH)のまとめ

1枚の大きなイーサリアム

イーサリアム(Ethereum/ETH)とは、単なるデジタル通貨を超えた、DAppsのプラットフォームのことです。ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを活用することで、高い透明性とセキュリティを確保。金融やゲーム、不動産などの業界で広く活用されています。

イーサリアム(Ethereum/ETH)の利便性と将来性は非常に高いと評価されています。イーサリアムは今後も技術の進化とともに、更なる発展が期待されるでしょう。国内や海外の仮想通貨取引所で幅広く取り扱われているため、興味を持った方はぜひイーサリアム(Ethereum/ETH)を購入してみましょう。

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黒田志門
Crypto Writer

2018年に仮想通貨投資を開始。以降、専門的な知識を深めながら同分野で執筆業を始める。ここ数年は、仮想通貨やiGamingに関する深い理解を活かして複数のメディアで多くの記事を執筆。...

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