連邦捜査局(FBI)は10日、2023年の暗号資産(仮想通貨)関連犯罪によるアメリカ国内の被害総額が56億ドル(約7976億円)に達したと発表した。これは前年比45%増となる数字だ。
FBIのインターネット犯罪苦情センターが公開した新しい報告書によると、2023年には6万9000件の仮想通貨関連犯罪が報告された。
被害の内訳を見ると、投資詐欺が最も多く、被害額は約40億ドル(約5697億円)に上る。次いで個人情報漏洩が約5億ドル(約712億円)、技術サポート詐欺がそれに続く。
州別の被害状況
被害報告が最も多かったのはカリフォルニア州で、次いでフロリダ州、テキサス州と続く。カリフォルニア州の被害額は11億5531万5595ドル(約1645億円)を超え、1州で10億ドルを超える被害を記録した。
一方、アメリカ領サモアでは報告件数がわずか1件で、被害が最も少ない地域となった。ただし、人口が約4万5000人と最も少ない地域であることも影響しているだろう。
投資詐欺の実態と対策
投資詐欺は、虚偽の情報を基に投資を勧める欺瞞的な手法だ。通常、低リスクで高リターンが得られるチャンスと謳われる。
FBIのアナリストは、この種の詐欺が蔓延する理由を次のように分析している。
「長年にわたる仮想通貨の投資手段としての宣伝と、『取り残される恐怖(FOMO)』のマインドセットが相まって、犯罪者が消費者や個人投資家、特に利益を求めつつも技術やリスクに不慣れな人々を標的にする機会を生み出している」
2023年の仮想通貨関連投資詐欺による被害額は39億6000万ドル(約5640億円)で、2022年の25億7000万ドル(約3660億円)から53%増加した。
被害者の年齢層を見ると、30代と40代が件数で最多だが、60歳以上の層が金額では最大の被害を報告している。
仮想通貨投資における注意点
この報告を受け、仮想通貨投資を検討する際は以下の点に注意が必要だ。
- 投資先の徹底的な調査
- 「低リスク高リターン」をうたう案件への警戒
- 個人情報の慎重な取り扱い
- 専門家のアドバイスの活用
- FOMOに惑わされない冷静な判断
仮想通貨市場は依然として魅力的な投資先だが、リスクも高い。十分な知識と慎重な姿勢を持って臨むことが、詐欺被害を防ぐ最善の策となるだろう。