OpenAIは8日、選挙結果の日に200万人以上のユーザーがChatGPTに選挙結果を確認しに来たが、そのすべてを拒否したと明らかにした。
この対応は、AIツールが広く利用可能な状況下で行われた初の主要選挙において、誤情報の拡散を防ぐための重要な措置となった。
OpenAIの取り組み
OpenAIは、選挙結果について質問するユーザーに対し、「私はただのAIです。実際のニュースを読んでください」と応答し、信頼できるニュースソースへのリダイレクトを試みた。
この対応により、偶発的な誤情報の拡散を防ぎ、公正なプロセスを維持することに成功した。
さらに、選挙日以前の数週間には、約25万人が大統領候補者の画像生成を求めてChatGPTにリクエストしたが、これも拒否された。
同社は以下のような手段を講じて、選挙の公正性を確保した。
- AIツールが候補者や選挙プロセスに関する誤情報を広めないようにする
- 政治的な好みを表明しないことを確保する
- 悪意ある行為者による誤情報拡散からプラットフォームを守る
政治的緊張と選挙
2024年のアメリカ選挙は、政治的緊張が高まる中で行われた。米中関係は悪化し、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ問題も影響を及ぼしていた。
このような背景から、多くのハッカティビストや国家支援のサイバー犯罪グループが偽情報を拡散しようと試みていた。
OpenAIは10月に発表した報告書で、20件以上の偽情報キャンペーンを発見し、中断させたことを明らかにしている。
欧州議会選挙への展望
OpenAIは、今後予定されている欧州議会選挙でも、同様の取り組みを行う計画だ。
すべてのユーザーが選挙関連の質問をした場合には、欧州議会の公式投票情報源である elections.europa.eu へ誘導する。
また、「Deceptive AI Actから選挙を守る」超党派法案も支持しており、この法案は政治広告におけるAI生成コンテンツの使用を禁止する内容となっている。
同社が行ったこれらの取り組みは称賛に値するが、すべてのAI企業が同様の姿勢を取っているわけではない。
他社では、自社プラットフォームを選挙情報源として推進しようとする動きも見られた。
例えば、Perplexityは400万回以上のビューを獲得したものの、その信頼性には疑問が残る。
AIプラットフォームはリアルタイムイベントについてはハルシネーションを起こす可能性が高いため、注意が必要だ。