カリフォルニア州議会は26日、人工知能(AI)によって生成されたコンテンツに「透かし(ウォーターマーク)」の付与を義務付ける法案「AB 3211」の審議を進めている。
この法案は、AIによって生成されたさまざまなコンテンツ、無害なミームから政治家に関する誤情報を広めるディープフェイクまで、幅広い対象を含んでいる。
テック大手3社が支持を表明
注目すべきは、ChatGPTの開発元であるOpenAIに加え、AdobeとMicrosoftもこの法案を支持していることだ。
3社は、AIが生成したコンテンツの透明性と出所の要件が重要であると考えている。特に選挙の年には、その重要性が増すとしている。
OpenAIのジェイソン・クォン最高戦略責任者は、法案の作成者であるバフィー・ウィックス州議会議員に宛てた書簡で次のように述べている。
「新しい技術と基準は、人々がオンラインで見つけるコンテンツの出所を理解し、人間が生成したコンテンツと写実的なAI生成コンテンツとの混同を避けるのに役立ちます。」
この書簡はロイター通信が確認している。また、TechCrunchによると、AdobeとMicrosoftも同様の支持を表明する書簡を送っているという。
法案の進捗状況
AB 3211法案はすでに州議会下院を62対0の全会一致で通過している。今月上旬には上院歳出委員会も通過し、上院本会議での採決に向けて準備が整った。
8月31日までの立法会期中に可決されれば、9月30日までにギャビン・ニューサム知事の署名または拒否権行使の段階に進むことになる。
AI規制をめぐる議論の活発化
カリフォルニア州では、今立法期に65もの人工知能に関連する法案が提出されていた。
その中には、アルゴリズムによる決定のバイアス排除を証明する義務や、故人の知的財産をAI企業による搾取から保護する措置なども含まれていた。
一方で、AI開発者に自社モデルの安全性テストを義務付ける別の法案「SB 1047」に対しては、OpenAIを含むテック業界から反発の声が上がっている。
選挙年におけるAI生成コンテンツの影響
世界人口の3分の1を占める国々で選挙が行われる今年、AI生成コンテンツが果たす役割に専門家たちは懸念を示している。すでにインドネシアの選挙では、AI生成コンテンツが目立つ存在となっていた。
OpenAI、Adobe、Microsoftの支持表明は、AI技術の透明性と責任ある使用を促進する上で重要な一歩と言える。今後、他のテック企業や業界団体がどのような立場を取るか、注目が集まるだろう。
この法案が成立すれば、AI生成コンテンツの識別が容易になり、ユーザーの混乱を防ぐことができる。一方で、技術的な実装や執行の課題も予想される。AI技術の急速な進化に法規制が追いつくか、今後の展開が注目される。