バイデン大統領は25日、ニューヨークの国連本部で開催された国連総会で、アメリカ大統領として最後となる演説を行った。
同氏は、人工知能(AI)の急速な発展がもたらす課題と機会について重点的に語り、国際社会の協力の必要性を訴えた。
演説の中で、バイデン大統領は「AIは今後2年から10年の間に、過去50年以上の変化をもたらす可能性がある」と指摘。AIがもたらす科学の進歩や生活の向上の可能性に言及しつつ、同時に深刻なリスクも伴うことを強調した。
AIの安全性と倫理性を強調
バイデン氏は、AIの発展に伴う具体的な懸念事項として、ディープフェイク、偽情報、新たな病原体、生物兵器などを挙げた。これらの課題に対処するため、国際的な規範やルールの策定が急務であると訴えた。
「我々は、AIの安全性、セキュリティ、信頼性を確保するための緊急の取り組みが必要だ」とバイデン大統領は述べ、AIの利益が公平に共有され、人間の尊厳を損なわないよう国際社会が協力して取り組むべきだと強調した。
Joe Biden tells the UN that we will see more technological change in the next 2-10 years than we have seen in the last 50 and AI will change our ways of life, work and war so urgent efforts are needed on AI safety pic.twitter.com/asgqcp6bOD
— Tsarathustra (@tsarnick) September 24, 2024
AI規制に向けた国際協調を呼びかけ
バイデン大統領は、AIに関する国連総会初の決議案の採択や、60カ国以上が参加したAIの責任ある利用に関する宣言の発表など、これまでの成果を紹介。しかし、「これらは氷山の一角に過ぎない」と述べ、さらなる取り組みの必要性を訴えた。
特に、AIの統治に関する国際的な枠組みの構築や、AIの力が強大化する中での安全性の確保について、国際社会のリーダーたちに協力を呼びかけた。「AIの素晴らしい能力が、人間精神の自由を抑圧する独裁者の道具にならないよう、確実にしなければならない」と警告した。
バイデン大統領の今回の演説は、AIがもたらす課題と機会に焦点を当てつつ、国際社会の結束を求める内容となった。この演説は、同氏の大統領としての任期終了が近づく中、AIに関する政策の方向性を示すとともに、次期政権に向けたメッセージとしても受け取られている。