アップル社は22日、欧州連合(EU)向けにiOSとiPadOSの大幅な変更を実施すると発表した。この変更には、ブラウザ選択画面の改善や、これまで削除できなかった標準アプリの削除機能の追加が含まれる。
変更の背景には、EUのデジタル市場法(DMA)がある。DMAは、デジタル市場での競争を促進し、ユーザーの選択肢を拡大することを目的としている。アップルはこの法律に準拠するため、年内にこれらの変更を実施する予定だ。
ブラウザ選択の自由化とユーザー体験の向上
新しいブラウザ選択画面では、ユーザーにより多くの情報が提供される。EUのユーザーがSafariを初めて開く際に、この選択画面が表示されるという。
各国で約12のブラウザオプションが用意される予定で、ユーザーは自分の好みに合わせてデフォルトブラウザを自由に選択できるようになる。
これにより、暗号資産(仮想通貨)に対応したブラウザの選択やWeb3.0時代におけるユーザーの選択肢が大幅に拡大されることが期待される。
さらに、iOS 18とiPadOS 18では、設定アプリ内に「デフォルトアプリ」セクションが新設される。ここでは、電話、メッセージ、翻訳、ナビゲーションなど、様々な機能のデフォルトアプリを変更できるようになる。
標準アプリの削除が可能に
最も注目すべき変更点は、これまで削除できなかった標準アプリを削除できるようになることだ。App Store、メッセージ、写真、カメラ、Safariなどのアプリが、EU圏内のユーザーに限り削除可能になる。
この変更は、ユーザーにとって大きな自由をもたらす一方で、アプリ開発者にとっても新たな機会を生み出す可能性がある。
例えば、サードパーティ製のブラウザやメッセージアプリが、より多くのユーザーを獲得できるチャンスが生まれるかもしれない。
これらの変更は、デジタル市場での競争を促進し、ユーザーにより多くの選択肢を提供するというDMAの目的に沿ったものだ。アップルは欧州委員会との継続的な対話を通じて、これらの変更を実施するとしている。
Web3.0時代を見据えた今回の変更は、ユーザーの自由度を高めるとともに、デジタル市場の多様性と革新性を促進することが期待される。
EU以外の地域でも同様の変更が行われるかどうかは現時点では不明だが、グローバルなテクノロジー市場に与える影響は大きいだろう。