グーグルの研究チームは29日、人工知能(AI)を用いてゲームエンジンなしで「DOOM」のようなゲームプレイを生成できる「GameNGen」を発表した。この革新的な技術は、ゲーム開発の常識を覆す可能性を秘めている。
GameNGenは、画像生成AIの「Stable Diffusion」と入力検出システムを組み合わせることで、プレイヤーの動きに応じてリアルタイムでゲーム画面を生成する。
従来のゲーム開発手法とは異なり、事前に設計されたレベルではなく、AIがプレイヤーの行動に合わせて環境を動的に作り出す。
AIが生み出す「DOOM」の世界
研究チームによると、GameNGenは毎秒20フレーム以上の速度で「DOOM」のようなゲームプレイを生成できるという。さらに驚くべきことに、人間の評価者がAI生成の映像とオリジナルゲームの映像を区別することは、ほぼランダムな確率程度にしか成功しなかったそうだ。
Diffusion Models Are Real-Time Game Engines
abs: https://t.co/Fg8EOZ9DlI
project page: https://t.co/HK9IhZwYDaGoogle presents GameNGen, the first game engine powered entirely by a neural model that enables real-time interaction with a complex environment over long trajectories… pic.twitter.com/8YBvNbBsy0
— Tanishq Mathew Abraham, Ph.D. (@iScienceLuvr) August 28, 2024
しかし、完璧というわけではない。例えば、プレイヤーキャラクターが毒に触れても体力が4%で止まってしまうなど、一部の挙動に不自然さが残る。また、AIの「記憶」が約3秒間に限られているため、長期的なゲームの状態管理には課題が残されている。
GameNGenの仕組みと今後の展望
GameNGenの開発には、二段階のプロセスが採用された。まず、AIエージェントに「DOOM」のプレイ方法を学習させ、大量のゲームプレイデータを収集。
次に、このデータを用いて拡散モデル(Diffusion Model)を訓練し、過去のフレームとプレイヤーの行動に基づいて次のフレームを生成する能力を獲得させた。
この技術の登場は、ゲーム業界に大きな衝撃を与えた。AIによるリアルタイムのゲーム生成は、従来のゲーム開発の概念を根本から覆す可能性を秘めている。
ゲーマーや開発者たちは、AIがもたらす新しいゲーム体験の可能性に期待を寄せつつ、従来のゲーム開発技術との共存や融合の道を模索することになるだろう。
GameNGenの登場は、ゲーム産業における人工知能の役割を再定義し、創造性と技術の新たな融合を予感させる画期的な一歩となった。